あらすじ
この欲望は、私だけの宝物。
ときめきと性欲が交じり合う、きらめく5つの物語。腐女子友達に恋人ができたことをきっかけに、一念発起したトーコ。
きらきらするような初体験を求めて一晩限りの男性に身体を開くが――…?
(「終電なくなっちゃった」)ムギにとってセックスは、この世で一番楽なコミュニケーション。
指いっぽんも触れないで恋をしてしまうなんて
32年生きてきて初めてのことだった。
(「それは、初めての」)ほか、まぶしくも儚い5編を収録した短編集、ついに発売!
Amazonより
はい、私の好きな作家『ばったん』さんの作品の紹介です!
今回紹介するのは『いてもたってもいられないの』の女の性欲がテーマのオムニバス短編集です!!
なんか凄いテーマ来たな!って思わんでもないですが、きっと誰もが思ったり考えたりすることなんじゃないかなぁと思いました。
『終電なくなっちゃった』
主人公のトーコが腐女子友達に彼氏ができたのをきっかけに自分の知らない世界(SEX)に興味を持ち、
意を決して行ったクラブで出会った男性と身体を重ねてしまうんだけど、なんか全然想像していたのと違うくて、
こんなもんかぁ~…世界がキラキラして見えるっていう友達の言葉とのギャップに落胆するも、友人の男性(矢ヶ崎)が実はトーコが好きだったとわかり、指が触れただけでも気分が高まってしまう自分の感覚にそういう事か!って納得しちゃうお話。
アラサーの処女率は大体30%くらいらしいんだけど、ってトーコが心の中で言っているシーンがあるんですが、よくわからないけど実際にはもっといるんじゃなかろうかと思う!!
特に引き籠りのオタクには多いと思うよ…私の周りでもいると思う(確信)
このトーコが次のお話でもチラッと関わってて出てくるんだけど、めっちゃ友人の男性(矢ヶ崎)と恋人同士になってラブラブで楽しそうなのが良い(笑)
『46』
主人公のサトさんは46歳の小説家。そこに編集者として絡んでくるのが前回の主人公のトーコさんです(笑)
トーコが彼氏が出来たことで楽しんでいるのを見て良いなぁと心の中で思うサトさん。
もうそんなの自分には遠い昔の話に思えていて(悲しい)
そんな時に昔付き合ってた男性(真田)から連絡が来て久しぶりに会うことに!!
久し振りにちゃんと服を選び化粧品も買い、会うことになるんだけどこれめっちゃどんでん返し(笑)
私すっごく途中までめっちゃ良い感じやん!!真田さんもお似合いやん!!って思ってたのに
最後の一言で一気にクズ男(笑)
あ~!!騙されたぁぁあ!!!(悔しい)ってなったよ!
まったくほんとばったん先生そういうとこ上手すぎて最高です。
そして最後結局よりは戻さず(当たり前でしょう!)1人えっちに目覚めちゃう46歳女性がどえっっち過ぎて…
堪りませんな!!(笑)
『それは、はじめての』
バーで働く主人公のムギは身体を重ねることでしか会話できないタイプの女性。
ある時お客さんの一人にちょっと話しただけなのに凄くタイプの人がいて、片想いしてしまうんだけど、これが実は結構脈ありなんじゃないのってくらい、男性のセンちゃんもムギに意味深なこと言ってくるんですよ!
でも前回のお話があるから(『46』)この男もクズ男かもしれないぞ!って読んでいくと、なんと最近できたばかりの彼女を連れてムギの働くお店に!!コイツ!!!やっぱり!!!(笑)
って思ったんだけど、センちゃんの彼女がトイレで席を立った後、ムギはついうっかっりセンちゃんに『あなたの事が好きなんですよ。』と告白しちゃうんですよね、
それに対してのセンちゃんがまさかそんなこと言われると全く思ってなかったって感じで、お??これはまさか??ってとこでこの話は終わるんですよね(笑)
いや確実に脈はあると思うので新しくできた彼女が席に戻ってきたらこれ結構変な空気になるんじゃないかなぁと想像…続きが読みたい!!
そしてこのお話にも一話目のトーコが彼氏(矢ヶ崎)と一緒にムギが働いてるバー(居酒屋?)に飲みに来てるのが面白い(笑)ちゃんと二人の関係は続いてるようなので良かったです。
『その時までは』
主人公の喜屋武(きやん)さんは地味めの女子大生。同じ大学の『とびっきりの女子』青葉さんにまっちんぐアプリを紹介することになって仲良くなっていくんだけど、一緒にいる内に青葉さんとの時間がとびっきりの時間になっていた喜屋武。
気付いた時には失恋してるタイプ…(つらみ)
いやでもえもい。この2人がどうにかこうにかいい関係になって幸せになって欲しいと思ってしまう。
まっちんぐアプリとかどんな感じなんですかね、今の若い子は普通に使いこなしてそうなので凄いなぁと思わずにはいられません(笑)おばちゃんになったな…
『はんぶんこしようよ』
主人公はうさぎのぬいぐるみ『メルティちゃん』が好きな29歳の冴島さん。
Twitterで同い年・メルティちゃん好きの『とおるちゃん』に会うことになり、女性だと思っていたとおるちゃんが実は男性(女装している)だったとは知らず、吃驚したものの一緒に出掛けたりするんだけど、やっぱり高身長のがっしりした男性って女装しててもわかっちゃうんですよね、周りからひそひそ言われたりして冴島さんはそれが無理でとおるちゃんに酷い事言ってしまいます。
とおるちゃんから暫く連絡来なかったんだけど、借りていたものを返したいとある日連絡があり、再び会うことになって、そこでまた言ってしまうんですよ冴島は!!
けどね、けどそういうのってあると思うんですよ。冴島が思ったことは今の日本の人口の中にきっと同じこと思う人も沢山いるし、そう思うからこそ日本のいろんな問題っていうのは緩和されてないんだろうなって思いました。
思うことが悪いってわけじゃないんだけどね、日本はまだまだ右にならえという感じだから難しいとこだなぁ…
しかしとおるちゃんの、
『ぼくも変なの?』
という言葉に対し、冴島の
『….きれい。すごいきれいだなって最初から思ってた。』
がもうとってもエモくて最高でした。
同じテーマでもこんなに違うもの
前5話、余すところなくすべてが愛おしいお話になってます。
しかし全部続きが読みたくなるんだからばったん先生流石です!!
性欲は人によって全く違うもの(しみじみ)
個人的に『そのときまでは』『はんぶんこしようよ』がとてもお気に入りです。
ちょっと値段がお高いけど十分満足いく一冊です。
コメント